石田 純一
 顔部品の位置や大きさが決まらないときは“福笑い方式”だ。石田純一キャラクタのときは数種類の大きさの黒丸の目をつくって他の部分が完成した顔の上に置き、少しづつ動かして最適な大きさと位置を決めた。左の絵でそのときの様子を再現した。真ん中が採用した顔。左下と中央上、右下の顔でも良いような気がしたが、それぞれ図中に書いた理由でやめた。
 究極の目はふたつの黒い丸である。シンプルさを追究するとき黒目の中の光の白丸(*1)はおろか白目部分さえ描かないのがよい。そのうえ、まん丸だったら最高だ。だけどそうはうまくいかない。たいてい似度(*2)との戦いに負けて形を崩してしまう。私の作品の中で目を“まん丸の黒丸”で描けたのは恐らくこの石田純一氏だけだ。というより彼の場合目をどう描いて良いかわからず苦悶の末エイヤ!とまん丸にしたのだ。形がシンプルだから大きさと位置が勝負だが、これもなかなか決まらない。これを描いた当時はまだ手書きで、紙に描いては消し、消しては描いてを繰り返すものだから目のまわりだけが黒ずんでしまい、女房に殴られた不倫オヤジのようになって困った。
↑さわやか過ぎる
↑かわいらしすぎる
↑平凡
↑採用した顔
*1 風吹ジュン参照
*2 似度:似ている度合い
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