高橋 尚子
 やっぱり世界新記録を出した。彼女を初めて見たのは1998年のアジア大会で、猛暑のバンコクをぶっちぎりで走っていた。500メートル歩くのも遠慮したくなるようなあんな環境で日本記録を出すのだから世界記録を塗り替えるのは時間の問題だと思っていた。
 さて高橋尚子さんの顔は案外独特で似た人がおらず似顔絵は描きやすそうなのであるが、顔部品がどれも大きいので本人以上にかわいらしく描くのがむずかしい。似顔絵は顔部品を強調するものだからもともと大きい顔部品はさらに大きく描くことになり、絵として上品さがなくなっていくのだ。例えば高橋尚子さんのように目が大きい場合、それを強調するとただのギョロ目になってしまう。かといって遠慮して普通に描いたら特徴を無視することになって似顔絵にならない。したがってやんわり強調しながら実態に近い形でまとめることになる。Qちゃんは私の作品の中でも最もデフォルメ度が小さく写実的なキャラクタで、そういう意味では前回の島田紳助さんと正反対だ。
 高橋選手以外のマラソン選手の似顔絵は瀬古選手と宗兄弟をロサンゼルスオリンピックの年の年賀状で描いた。金銀銅フィニッシュを期待して、干支の鼠をもじった宗兄弟が先頭を走る瀬古選手を追いかけている場面にした。前のほうが兄の茂さんである。
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10月6日
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