新年のご挨拶  自由学舎主宰 下田秀明

                                 
 富士山の前で


  新年明けましておめでとうございます。講師一同、子どもたちの今を見つめなが
ら、その健やかな成長を、これからもずっと精一杯後押ししていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いします。
 毎年正月は、富士山を拝みに金時山を登ります。今年も元日、家族全員を引き連れ登ってきました。そして登頂の瞬間には、かかっていた雲が取れ、きれいな全景を見ることができました。その富士山に向って、今年が穏やかな平和な年となるように祈りました。
 この均整のとれた雄大な山容、周りに連なる山々のない単独峰は、世界でも珍しい山です。遠洋漁業から久しく帰ってくるとき大洋から最初に見える日本が富士山。その姿を見て涙があふれるという話を聞きます。太古からの富士山への信仰、また富士見という地名が多いことも当然のように思えます。
 初夢に見ると縁起の良いものを表すことわざに、『一富士(いちふじ)、二鷹(に
たか)三茄子(さんなすび)』とありますが、やはり富士山は筆頭です。鷹は賢くて
強い鳥、ナスは事を『成す』の掛ことば、など諸説あるようですが、良い夢は見たい
ものです。
 昔から、良い夢を見るには、七福神の乗った宝船の絵に『なかきよの とおのねふ
りのみなめさめ なみのりふねの おとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚
め波乗り船の 音の良きかな)』という回文の歌を書いたものを枕の下に入れて眠る
と良いとされています。回文は前から読んでも後ろから読んでも同じものですが、こ
の一句は実に良く考えたものだと感心します。
 日本にさまざまな大きな難問が降りかかった昨年。今年こそ、被災地の復興回復が進められ、原発問題も収束の兆しが見える一年になってほしいと思います。みなさまにとりましても、本年が良い年でありますよう、お祈り申し上げます。
 最後に、好きな回文をひとつ。この海でいつも生徒たちとキャンプをしています。
『みうらかいがんだんがいからうみ(三浦海岸断崖から海)』

 

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