都 はるみ
似顔絵の目的のひとつは、描かれた人物が誰であるかを判別してもらうことだから、顔や体形以外にも服装や小道具をできるだけ利用して見る人を正解に誘導する。政治家にはダークスーツ、スポーツ選手にはチームユニフォームを着せ、歌手にはマイクを持たせてヒントにする。実は歌手にはこの他に「お決まりのポーズ」という有力なヒントがある。歌手はたいてい曲によってオリジナルの振り付けをしていて、その決めのポーズはヒントになる。残念ながら最近の歌手のはクネクネしていてとらえどころがなくなってしまったが、昔はアイドルを中心にみんなラジオ体操のようにわかりやすい振り付けをしていた。さらに大歌手になると曲目に関係無く「お決まりのポーズ」が確立していた。都はるみさんは“さび”の部分になると右斜め上の方向を一心に見つめ、またマイクもその方向を向けて唄う。「北の宿から」でも「大阪しぐれ」でもそうだ。一体その方向には何があるのだろう。
五木ひろしさんのお決まりのポーズは握りこぶしとちょっと腰を落とした斜め向きの姿。ものまねの栗田寛一氏が唄いながら腰を落としてゆき、しまいにしゃがみこんでしまうのをやったのが印象に残っていて左の絵になった。
美空ひばりさんは私には実物がそういうふうにしているとは思えないのだが下あごずらしと千鳥足。これは“なんでかフラメンコ”の堺すすむ氏が昔やっていたのが印象に残っている。