北野たけし
 記号化しやすい顔というのは似顔絵を描く者にとって大変都合が良い。顔部品をうまく記号化できればセンスの良さを誉めてもらえるし、失敗しても記号で表そうとするアイデアとチャレンジ精神で似度の低さを許してもらえる。顔部品の記号化は似顔絵における“免罪符”だ。私もこの免罪符ほしさに記号化を試みることがある。たけしさんの顔は記号化しやすくて下の図のような似顔絵をよく見かける。眉毛とか鼻が三角っぽくって記号化しやすいうえお決まりのポーズもあり、他人との識別ができるレベルまでは簡単に描ける。しかし、それ以上となるとなかなか手ごわい。とくに目が記号化できないのだ。実際の目は黒目がちだし形の変化も少ないので記号化しやすそうなのだが、単純な形にするとどうしてもとってつけたような目になってしまう。これはきっとたけしさんの天才によるものだ。お笑い芸人や映画監督をはじめマルチな才能が潜んでいる目をひとつの記号で表すことなどとてもできないのだ。
この招き猫はエリツィンのページで載せたのと同じくフランス政府主催の2000年ミレニアムイベントに出品するはずだったものだ。このときも目がなかなかうまくいかなくて、試行錯誤の末とうとう掘って“穴”にしてしまった。天才たけしの目は底が知れないほど深いのである。
記号化の進んだたけしさんの似顔絵
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