〜つれづれなるままに、日ぐらしパソコンに向ひて、〜

  ( このページの主な内容: 
 ・雑感 ・僕達の洋楽 ・その後手にしたアルバム ・ジョニ・ジェームス ・カントリーとホンキートンク )


      
 ★ はじめに、

目的も定めず、深い思慮もなく、
見よう見まねで始めたホーム・ページも、
いつの間にか量だけは膨大になってしまいました。

内容のほとんどが、昔聴いた音楽とその想い出話という
有様ですから、まるで、過去の想い出に浸っているばかりで、
現在の自分が、抜け殻のような印象を与えてしまうかもしれません。
でも、こと音楽に関してはその通りですから弁解のしようもありません。

 こんないい加減なサイトへも、沢山の方が訪問してくださり、一方通行のはずが、
今では大切なお友達もできました。想像もしていなかったことだけに、
大きな驚きと同時に幸せを感じています。

   ページも一段落したところで、今に至るまでの様々な思い、
そして現在の状況や心境などについて、文字通り、つれづれなるままに書き綴ってみようかな、
と思い立ちました。


  

 
★其の1: 大切なお友達と古い音楽。
  
■「Picnic」


現在、インターネットを通して身近になったお友達と、
毎日のように、古きよき時代の懐かしい音楽の話に
興じています。

戦後の復興期から現在の繁栄の時代を、
それぞれ違った環境のもとで過ごしてきても、
音楽の話題で心が一つになり、過ぎ去った日々を振り返る楽しみを、
私同様、皆さんも感じているからだと思います。

 見ず知らずの方々と、一緒に青春時代を過ごしてきたかのような親しみを憶えるというのは、
全く経験のないことだけに、未だに不思議な感覚です。
なまじ身近にいても、何を考えているやら解らないような連中もいるものですが、
高い教養と知性に溢れた方々とのネット交流は、豊かな社会生活を送るための新しい手段として、
今後とも大いに活用されるべきだと、身をもって痛感しています。

 ネットのお友達も比較的年令が近いせいで、古い音楽がお好きの方ばかりですが、
私自身、1970年代から現在までの音楽で、強い想い入れがあるものといったら、
ほんの数えるぐらいしかありません。
社会人として、仕事や家庭をもってから聴いた音楽の中にも、素晴らしい曲や歌ももちろんありますが、
瞬時に、それを聴いた時点の自分の生活が蘇ってくるほど強烈なインパクトのある曲は、
そう沢山はないというわけです。

 やはり、豊かな感受性と無限の可能性を感じていた、若い頃の様々な経験のほうが、
今になっては、昨日の出来事のように、懐かしく想い出されるのかもしれません。

 お友達については、いずれ、もう少し具体的な話題で続けたいと思っています。

  
 ★其の2: フリーズドライ。
  

私の人生最大の転機となった年は、
今思い返しても1964年だったことは間違いありません。

多くの大切なものを失った直後の、
新たな社会生活のスタートの年でした。



 恋人を失った悲しみは、特別でした。
愛しすぎたから身を引いたなんていう美しい経験も、最初で最後の事でしょう。
 以来、無我夢中で生きてきたというのが実感ですから、
あの頃の出来事が、私の人生にいかに大きな影響を与えたか…今更ながら驚いています。

小学生時代に観た映画:「白昼の決闘」での悲劇のヒロイン…、
私の理想の女性像でしたが、彼女に同じような気持ちを抱いています。
最高の想い出だけを残してくれたということで、
今後も変わることがないだろうと思っていますが〜。

別れた後、やるせない思いをぶつけるために、
自作の曲を英語・日本語を合わせて60曲近く作り、夜毎密かに歌ったものでした。
今でも歌詞を書いたノートが残っていますが、残念ながらその後歌っていませんから、
ほとんどメロディを憶えていないはずです。

 ここらへんの苦悩とその対処方法は、我がハンク・ウイリアムスとやや似ているところが
あるかもしれませんが、スケールの点では大きな開きがありそうです。
 夢中で夜中まで働き・勉強し、ふと我に帰った時のやりきれない寂しさ…、
あの時、もし音楽が身近になかったらと思うと、今更ながらぞっとします。
 ただ、自作の歌詞を今見ると、あれほど純粋で一途な私は一体どこへ行っちゃったの?、
と言う感じもしますから、結構いい加減なものです。


■「My Song Book」


 
現在、1964年以前の音楽に触れた時、
それを聴いていた幸せな時代のさまざまな状況が、
メロディの中から自然に蘇ってきます。
まるで40年以上前に瞬間凍結された食べ物が、今突然解凍されて、
瞬時にして本来の色や味を少しも損なわずに蘇る…そんな感覚です。
 当時の音楽は、何の苦労も無く楽しく過ごした毎日とセットになっていて、
時にほろ苦く、甘酸っぱく、切なくなるほど懐かしく…心に迫ってくるのです。

 ホーム・ページを作ろうと思い立ったのは、今思うと、長い間封印されていた昔の想い出を、
そろそろ開放してみようかな、と、やや心にゆとりができたからだと思っています。
私にとってあの頃の音楽は、ただ懐かしいといったレベルのものではなく、
やっと無理をしなくても振り返れる、若き日の生活の証そのものですから〜。

 感受性も豊かで、何の不自由もなく、人生はひたすらバラ色に輝いていた時代、
その後の人生とは明確に違うあの頃の音楽や映画は、身体に染み付いています。
それ以降も、当然沢山の音楽や映画に接してきたのですが、生活感の伴った趣味の世界というのは、
どうしても印象が薄くなってしまうのかもしれませんし、社会人になってからの音楽や映画は、
それ以前のものより、質が低下したのかもしれません。

 冷凍保存されていた若い頃の想い出、でも、その後の厳しい環境の中でも、常にわが道を行く 
思い通りの生きかたができたのは、それまでの様々な経験が大きな支えになっていたことは
間違いありませんし、
今、こうして甘酸っぱい想い出とともに、膨大な音楽に接することができるのも、
温かい家庭環境に恵まれたこと、そして永遠の恋人に出逢えたからだと思っています。

 成就しなかったからこそ、後戻りできないからこそ、美しい想い出だけが今でも生きているのでしょう。
恋人に関しては、フリーズ・ドライ食品のように、解凍して元どおりというわけにはいかないようです。
 
■「Fred Astaire」
 

…こんなことを書いて、何の意味があるのかわかりませんが、
自分の人生をこのような形で振り返るのも、
この年になって悪くないかな、と思っています。
どんな辛い経験も、時の経過が懐かしい想い出に変えてくれることを
知るには、ある程度の年月が必要ですから。


 以下、こんな調子で、自分勝手な話に終始するんだろうな〜、という予感がしています。


 
★其の3: 未完成の各ページ
   
■「My Pipes」


中途半端ながら、一度ジャンル別のページなどを形にしてしまうと、
その後再会した懐かしい音楽のことや、心の変化について、
また書き忘れ、間違い等に気付いても、
その都度、手を加えるのがしんどいものです。


 特に私の場合、たまたま手元にあった数少ない音源だけをたよりに、
遠い昔に想いを馳せながら、頭に浮かんだ事だけを書いてきましたから、
冷静に読み返すと、不十分な内容が随分気になります。
もちろん、もともと音楽資料を作るつもりも、それだけの知識もありませんから、
この程度で仕方ないのですが…、もう少し系統立てて書けばよかったかな、と反省しています。

 今更各ページを書き直したり、書き足したりすることは、性格上無理ですから、
せめてこのページで補足していこうかな、と思っています。
現在でも、想い出の欠落している部分を補おうと、
CDショップへ出かけては、懐かしい音楽を物色している有様ですから、
所詮、完成されたページなど作れないものだと、諦めてもいます。


 

 
★其の4: 僕達の洋楽ヒット
   
■「僕達の洋楽」


「僕達の洋楽ヒット・Vol.1/'55〜58」
「続僕達の洋楽ヒット・Vol.2/'59〜60」


私の音楽の原点とも言うべき、
50年代のポピュラー・ソングを集めたCDです。
但し、Vol.2は、大学時代に重なっているので
あまりなじみの無い曲もあります。
 主な曲だけでも、
「チャチャチャは素晴らしい」:エンリケ・ホルン
「アンチェインド・メロディ」:レス・バクスター
「ロック・アラウンド・ザ・クロック」:ビル・ヘイリー
「オンリー・ユー」:プラターズ
「ビーバップ・ルーラ」:ジーン・ビンセント
「お目当て違い」:ジョニー・マティス
「バナナ・ボート」:ハリー・ベラフォンテ
・「雨に歩けば」:ジョニー・レイ
「OK牧場の決闘」:フランキー・レイン
「白いスポーツ・コート」:マーティ・ロビンス
「フジヤマ・ママ」:ワンダ・ジャクソン
「恋のチャンス」:ジョニー・マティス
「カナダの夕陽」:ユーゴー・ウインターハルター
・「タミー」:デビー・レイノルズ
 …悪がき時代、ラジオに耳をそばだてて雑音の合間から聴いた、
懐かしい曲ばかりです。

 CDショップには、60年代、70年代とこのシリーズが続いていて、
様々な世代の人が楽しめるように、ズラッと並んでいました。
どうやら、この企画によると、私は一番古い世代のようですが…。
ただ、50年代も半ばからしか網羅されていないのが、何とも不満です。
 そして、これが以前にも度々触れてきたこと、
55年頃を境にしてポピュラー音楽が変わった、その証拠かなとも思っています。
それ以前は、ビッグ・バンド、バンド出身の大人のヴォーカリスト、などが
ヒット・チャートの大部分を占めていたのですから。

 その大人の音楽と若者音楽の両方をリアル体験し、
どちらも大好きだった私たちの世代は、かなり希少な存在に違いない、
などと、勝手な解釈をしているのですが、
私以外でも同じ事を言う人がいますから、あながちホラだけではなさそうです。

 
前の世代の人は、プレスリー以降のポップスを嫌い、
後の世代の人は、リアル・タイムで大人のポピュラー・ヒットを聴いていませんから〜。

  
■「American Pops 20」


 これに、欠落している若手アーティスト達:
エルヴィス・プレスリー、パット・ブーン、バディ・ホリー、
チャック・ベリー、ジェリー・リー・ルイスなどの、
スーパー・スターは既にCDでもっていますし、
ニール・セダカ、ポール・アンカ、コニー・フランシス、
リッキー・ネルソンなどのヒット曲を、
独自に編集した「American Pops 20」
50年代の映画音楽をまとめた「Screen Music」と、
この時代の音楽は、手を変え品を変え重複も承知でいろいろ揃えてきましたから、
あまり不満はありません。それに、ネットのお友達が、いざとなったらチャンと助けてくれますから〜。
 
 現在、日曜日の夜10時〜12時まで、ロックン・ロール専門のラジオ番組を聴いています。
昔のFEN…今は、American Forces Network Tokyoに変わりましたが、私にとっては相変らず、ヤンキー放送です。
 
「クルージング・USA」というリクエスト番組で、50年代のロックン・ロールばかり流してくれます。
当時日本のラジオでは聴けなかった、ややマイナーな歌まで聴けますが、
アメリカ人のコアなファンにとっては懐かしい歌としても、日本でヒットしなかったのが納得できるものが多いようです。

 プレスリー、バディ・ホリー、リッキー・ネルソン、ファッツ・ドミノ、ボビー・ダーリン、チャック・ベリー…、
やはり、メジャーな歌手は、毎週リクエストがあります。
 この番組、現地はまだ日曜日の早朝らしいのですが、私と同じ年代の男女の元気な声が聴けて、
遠い国の、オールディーズ仲間を今頃見つけた心地がします。
 最近50年代〜60年代初めのロックン・ロールと範囲が広がり、馴染みの無い曲がかかるのがチョッと残念ですが、
女性DJの早口でまくしたてるオシャベリ…ヤンキー娘がそのまま熟年になったような感じで、これがまたヨイのです。

  

■「Screen Music」


 「Screen Music」は、同じ企画モノがCDでもあるのですが、
内容が気に入らず、私なりの選曲とジャケット・デザインに作りかえました。
・「シークレット・ラヴ」:ドリス・デイ 
2・
「ボタンとリボン」:ダイナ・ショア 
3・
「遥かなる山の呼び声」:ビクター・ヤング
4・
「エデンの東」:ビクター・ヤング 
5・
「裸足の伯爵夫人」:ユーゴー・ウインターハルター 
6・
「ムーンライト・セレナーデ」:グレン・ミラー 
7・
「その手はないよ」: ベニー・グッドマン
8・
「黄金の腕」: ビリー・メイ
9・
「ザ・ハイ・アンド・ザ・マイティ」:ビクター・ヤング
10・
「ケ・セラ・セラ」:ドリス・デイ
11・
「トゥ・ラヴ・アゲイン」:カーメン・キャバレロ
12・
「バラの刺青」:ペリー・コモ
13・
「ジャニー・ギター」:ペギー・リー 
14・
「慕情」:フォー・エイセス 
15・
「セレソ・ローサ」:ペレス・プラド 
16・
「帰らざる河」:マリリン・モンロー 
17・
「誇り高き男」:スリー・サンズ 
18・
「アラウンド・ザ・ワールド」:ビクター・ヤング
19・
「先生のお気に入り」:ドリス・デイ 
20・
「死ぬほど愛して」:アリダ・ケッリ
21・
「禁じられた遊び」:ナルシソ・イエペス 

 これらの曲が、丁度流行っていた頃のラジオ番組、
「ポポン・ミュージック・レター」「ユア・ヒット・パレード」を、
胸躍らせて聴いた田舎時代が、昨日の事のように鮮やかに蘇ってきます。

 
 50年代は、映画音楽が、ラジオのヒット・チャートの中心を占めていた時代で、
そのほとんどの映画を、当時観ることができたのは幸運だったと思います。
私の音楽の想い出は、映画の想い出でもあるので、より鮮明に記憶されているのかもしれません。

 

 ★其の5: その後手にしたアルバムのこと (カントリー・ソング)。
    
■「Marty Robbins」


渋谷や横浜へ外出した折、CDショップへ立ち寄ることが多く、
特に渋谷のタワー・レコードは、同じフロアにジャズ、ヴォーカル、
カントリー、ブルースが並んでいるので…私好みの店です。
但し、もうジャズについてはこれ以上買わないと決めていますから、
フロア全部を徘徊する必要もありません。

 カントリー・シンガーも、オムニバス・アルバムで大抵の懐かしい歌を聴けるのだから、
いい加減止めておけば良いのですが、一人に手が出ると、それならこの人も聴かないわけにいかない、
ということになってしまいます。
 リアル・タイムでは、彼らのヒット曲のわずかしか聴いていませんから、初めての曲も多く、
当時はさほど素晴らしいとは思わなかった歌手を、今頃気に入るなんてこともあって、幸せ気分を味わっています。
  
■「Ferlin Husky / Elvis / Falon Young」


 自分も歌い、友人から教わり、FENを聴き続けてきましたから、
ほとんどの古いカントリー・シンガーに馴染みがありますが、
音楽的に素朴すぎるものはどうも愛着が湧かず、
どうしてもホンキー・トンク・スタイルのものが聴きやすいようです。
       
 
今のように、訳の解らないジャンル分けなどもなく、
昔はいろんな音楽を同じラジオ番組で聴けましたから、カントリーに興味をもっていなかった人でも、
今頃聴いて懐かしいと感じる方が沢山いらっしゃるのは当然ですし、
スィングも、タンゴも、大人のヴォーカルも、オールディーズも一緒に聴けた昔は、
やはり良かったという話に落ち着くようです。

 
下のアルバムの、アーティストや曲についてのコメントは省略します。
本来はカントリーのページに書き足すべきですが、それもしんどいということで、
こうしてジャケット写真の羅列に止めるという横着さです。
 どの歌手のヒット曲にも想い出があるのですが、そもそも、知らない歌手の歌を、
今更CDを買ってまで聴こうとは思いません。

 
      ■「Merle Travis」      
■「Tex Ritter」        ■「Eddy Arnold」      ■「Tennessee Ernie Ford」    ■「Lefty Frizzell」

 
 
     ■「Eanest Tubb」      ■「Hank Thompson」       ■「Webb Pierce」       ■「Jim Reevs」       ■「Ray Price」

  
     
■「Porter Wagoner」     ■「Johnny Cash」       ■「Don Gibson」        ■「Buck Owens」       ■「Merle Haggard」
       
 上のアルバムの内いくつか、お友達に頂いた曲に、私がジャケットを作ったものが混じっています。
 マール・ハガードを聴いたのは、もう社会人として働いていた頃でしたから、強い思い入れもないのですが、
私の中では、最後の正統派カントリー・シンガーとして記憶されています。
職場で聴いたFENのカントリー番組で、頻繁に彼のヒットソングが流れていましたが、
その頃のカントリー歌手でお気に入りといったら、ほとんど女性歌手だったものです。

 カントリーについては、他にも懐かしい歌手がいますから、まだCDも増えていくような気がしています。


 ★其の6: シナトラのこと。

 先日、一日中シナトラの曲を聴いてみようと思って、手持ちのCDをデスクに積み上げて次々聴いてみたのですが、
いつの間に沢山のCDが集まっていることに、我ながら驚きました。
 彼の歌はテープでも沢山残っていて、徐々にCDへ替えていこうと思っていましたが、
もう、いい加減ストップしても良さそうです。
 長いキャリアでしたし、いろんなテーマでシナトラを特集したラジオ番組があり、その都度録音していたので、
その全てをカバーすることはとても無理ですが、コレクターではないので歯抜けでも気にはなりません。
 以前から、キャピタル時代が一番と思っていましたが、今頃通しで聴いてみると、それぞれの時代に良さがあり、
やはり、これだけのビッグ・アーティストは、今までも、そしてこれからも出てこないだろうなあ、とつくづく感じました。

 
 
  
 
  「Frank Sinatra」
 
 昔、「国境の南」で彼に巡り合ってから、もう50年以上経ちました。
 ラジオで・映画で・レコードで、彼はいつも別格でした、…そしてこれからも〜。

        
 ★其の7 その後手にしたアルバム(ジャズ&ポピュラー)

 ○ ボビー・ハケット : 「The Hackett Horn」


■「Bobby Hackett」


 30年代の彼のアルバムを欲しかったのですが、ようやく手にする事が出来ました。
「The Hackett Horn」…影響を受けたビックス・バイダーベックに
ちなんだネーミングのようです。
「At The Jazz Band Ball」 「That Da_Da Strain」 「Jammin' The Waltz」 
「Clementine」 「Blue And Disillusioned」 「A Ghost Of A Chance」 「Poor Butterfly」
「Doin' The New Low_Down」 「That's How Dreams Should End」 「Ain't Misbehavin'」 
「Sunrise Serenade」 「Embraceable You」 「Bugle Call Rag」 「Ja_Da」 
「Clarinet Marmalade」 「Singin' The Blues」 

 
 彼の初リーダー・アルバムだそうで、SP〜LP〜CDと曲数も増えたようですが、
1938年から1940年までの録音ばかりを集めたものです。
「At The Jazz Band Ball」 のように、エディ・コンドン、ピーウィ・ラッセルなどお馴染みのメンバーとの
ディキシー・ナンバーはもちろん、
「A Ghost Of A Chance」 などを、軽快なダンス音楽として聴けるのも幸せです。
(レスター・ヤングの演奏や、リー・ワイリーの歌で好きなこの曲ですが、作詞はビング・クロスビーだったようです。)
「That's How Dreams Should End」 でのミュートでのソロなど、とてもノスタルジックな雰囲気ですし、
「Singin' The Blues」 は、ビックスとまた一味違った、ふくよかな甘さを感じます。
 全ての曲の感想は省略しますが、スィングからディキシーまでなんでもこなす柔軟なスタイルと、
独特の優れた音楽性…、期待通りのアルバムです。

 ○ ビング・クロスビー : 「New Tricks」

■「Bing Crosby」


 子供の頃抱いたイメージは、
大人になってもなかなか変更できないものですが、
私の場合、ビング・クロスビーもその一人です。
 彼には、どうしても牧師のイメージが付いて回っていて、
それは子供時代に観た映画のせいなのですが、
白人ジャズ・ヴォーカルの草分けなどと聞いても、どうしてもピンとこなかったものです。
 リアル・タイムでは、ポピュラー音楽しか聴かなかったせいもあるかもしれません。
せいぜい、「上流社会」での、サッチモとの
「これが、ジャズだ」 ぐらいで〜。

 「New Tricks」 というアルバムを聴いて、チョッとイメージが変わりました。
 これも「上流社会」の頃ですから、もう晩年に近い声ですが、
こうしてまとめて聴いてみると、確かに優れたジャズ・ヴォーカリストらしい魅力が感じられます。
 シナトラ、ペリー・コモ、ディーン・マーティンなどが、この歌声に憧れて歌手を目指したんだな、
とようやく理解できたような気がしています。
 30年代のアルバムが無いのですが、この一枚でも、十分納得できます。
「When I Take Sugar To Tea」 「On The Alamo」 「I'm Confessin' 」 「Between The Devil And The Deep Blue Sea」
 「Georgia On My Mind」 「Chicago」 「You're Driving Me Crazy」 「Avalon」 「Chinatown My Chinatown」 
「If I Could Be With You」 「Softly As In A Morning Sunrise」 「Alabamy Bound」 「More Than You Know」 「Rain」 
 
選曲も良し、歌も良し、ということで大いに気に入りました。

 
○ ビング・クロスビー 「The Original Crooner」
 
 
ライナーによると、彼は1700の歌をリリースし、368曲がトップ40に入り、
42曲がナンバー・ワンになったとありますから、
私が知っているのは、彼のキャリアのほんの一部ということになります。


「Swinging A Star」 「I'll Be Seeing You」 「Dinah」 「Pennies From Heaven」
「You Must Have Been A Beautiful Baby」 「You're Getting To Be A Habit With Me」
「Sweet Georgea Brown」 「I Found A Million Dollar Baby」 「June In January」
「I'm An Old Cowhand」 「Sierra Sue」 「With Every Breath I Take」 
「New San Antonio Rose」 「Trade Winds」 

 ベニー・グッドマンの演奏で想い入れの強い曲:「I Surrender Dear」 
リズム・ボーイから離れて、31年に放った最初のビッグ・ヒットだったようです。
「I'll Be Seeing You」
 は、シナトラのヒットの後で吹き込まれたようですが、
このアルバムの曲は大抵が30年代の録音で、当然リアル・タイムでは聴いていない曲ばかりですが、
ビング・クロスビーの原点を知ることが出来る興味深いアルバムです。
 ミルス・ブラザースとの 
「Dinah」 など、正にお宝と言えそうです。

 「Sierra Sue」 「Trade Winds」
 を知らなかったのですが、
解説では、ボブ・ホープとの「珍道中もの」で歌われ大ヒットした曲で、
 「シンガポール珍道中」:40 「ザンジバル珍道中」:41 「モスクワ珍道中」:42 「ユートピア珍道中」:45 
と4本も作られたとあります。この映画は、50年代にリバイバル上映されましたし、
私も何本かは観ているはずですが、50年代も初めの頃だったので、ストーリーを全く憶えていません。

 44年には映画:「わが道をゆく」で、オスカーを獲得しているそうですが、彼の場合は何と言っても、
42年にリリースされた 
「White Christmas」 が、時代を超えて、世界中で最も愛されている曲でしょう。

 ビング・クロスビーが、クルーナーと呼ばれる、マイクに近づいて囁くような歌い方を開発したのに対して、
彼を目標にしたシナトラは、もう一歩進んで、スゥーナーと呼ばれたそうです。
女性が彼の歌を聴いて気絶するほどの、魅力的な声だったからということでしょう。

 
少ない情報だけで、アーティストの好き嫌いを判断する癖のある私ですが、
ビング・クロスビーについては、大いに評価が変わったと言わざるをえません。
 簡単に、沢山の昔の音源に触れる事が出来るようになった、良い時代のおかげかもしれませんが〜。


 
 ミルス・ブラザーズ : 「The Best Of The Mills Brothers」

■「The Mills Brothers」


 男性コーラス・グループの草分けということは知っていましたし、
「Paper Doll」 「Basin Street Blues」 は、特に想い出深い曲です。
 グレン・ミラーで、トロンボーンという楽器が大好きになっていた頃、
彼らが口真似でトロンボーンの音色を出していたことに、驚いたものでした。
その頃から、トロンボーンは男性的な楽器というイメージも出来上がったようです。

 「Paper Doll」 「Till Then」 「You Tell Me Your Dream, I'll Tell You Mine」 「Across The Alley From The Alamo」
 「Basin Street Blues」 「You Always Hurt The One You Love」 「The Glow_Worm」 「Gloria」 「If I Had My Way」 
 「Dream Of You」 「Queen O The Senior Prom」 「The Window Washer Man」 「I Yi Yi Amigo」 
 「You're Nobody 'til Somebody」 「She Was Five And He Was Ten」 「How Blue?」 「Say Si Si」 
 「Smack Dab In The Middle」  「Be My Life's Companion」 「Daddy's Little Girl」 「I'll Be Around」 
 「Someday」 「Opus One」 「The Jones Boy」 

 馴染みの無い曲もいくつかありますが、繊細で魅力のあるハーモニーが楽しめます。
 恐らく、大好きなプラターズなども、彼らの影響を受けたのだと思いますが、
ベスト盤とはいえ、20曲を続けて聴くとチョッとしんどいものがあります。

 ミルス・ブラザースは、私よりもう少し年配の方にとっては、最高に想い出深いグループだと思います。
 女性コーラス・グループのボスウェル・シスターズというのは、丁度、
彼らの女性版という存在だったかもしれません。


 ○ フォア・フレッシュメン : 「Four Freshmen And 5 Trombones」

■「Four Freshmen」

 
「Angel Eyes」 が目に入って、思わず買ってしまったCDです。
この曲と、アルバムにはないのですが、
「Day By Day」 は、
魅力的なハーモニーが、昔から気になっていました。

 解説を読むと、モダン・ジャズ・コーラスの草分けであるとか、
技術的にも斬新であるようなことが書いてありますが、
歌うわけではないので、あまり専門的な説明はいらないというものです。

 「Engel Eyes」 「Love Is Just Around The Corner」 「Mam'selle」 「Speak Low」 「The Last Time I Saw Paris」
 「Somebody Loves Me」 「You Stepped Out Of A Dream」 「I Remember You」 「Love」 「Love Is Here To Stay」 
 「You Made Me Love You」 「Guilty」


 1955年の録音ということですから、アルバムを知らないのは当然ですが、
ジューン・クリスティの
「Something Cool」に何となく似た雰囲気がするなあ、と思ったら、
アレンジャーは、同じピート・ルゴロでした。スタン・ケントンの香りがするはずです。
 でも、分厚いトロンボーンの音色と、オシャレなヴォーカルのハーモニーが素晴らしく、
スタンダード・ナンバーばかりということもあって、このアルバムは、安心して楽しめます。

 アメリカでは、コーラスというのは、オーケストラやソロ・ヴォーカルと同じぐらいの人気があったのでしょう。
彼ら以外にも、昔は沢山のグループの歌をラジオで聴いたものでした。
 日本にも、同じようなグループがあったのかもしれませんが、なんせアメリカかぶれでしたからよく知りません。

 実は、 男性コーラス・グループというのは、昔からあまり好みではありませんでした。
 ラジオから流れる女性グループのヒット曲…、
アンドリュース・シスターズの 
「素敵なあなた」 「ラム・アンド・コカ・コーラ」
マクガイア・シスターズの
 「シンシアリー」 「シュガー・タイム」 などを聴いて、
女性独特の、チョッとセクシーなハーモニーに、ぞっこんでしたから〜。
 彼女達の歌声を再び聴きたくて、CDになってからすぐ買い求めたものです。

 同じ頃の男性コーラス・グループでは、フォー・エイセスが一番人気があり、
「慕情」 「スリー・コインズ・イン・ザ・ファウンテン」 「ストレンジャー・イン・パラダイス」 などがヒットしましたが、
特別感動する事も無かったものでした。
 インク・スポッツ、フォア・ラッズなどのヒット曲も聴けば懐かしいのでしょうが、
曲名がスラスラ出てくるというわけにはいきません。
 ミルス・ブラザース、フォー・フレッシュメンなども、何曲かはラジオで聴いていましたが、
最近、ふとしたきっかけでCDを買い、何十年ぶりに彼らのハーモニーに巡り会ったというわけです。



 ○ ケイ・スター 「The Magic Of Kay Starr」

■「Kay Star」

 手元に、50年代のポップス・ヒットが、
年代別に30曲づつ入っているアルバムがありますが、
50:
「I 'll Never Be Free」 50:「Bonapartes Retreat」 52:「Wheel Of Fortune」
54:
「If You Love Me Really Love Me 56:「Rockin' Roll Waltz」 と、
彼女のヒット曲が沢山あります。
 1番馴染み深い曲は、プレスリーの
「Heart Break Hotel」 と同じ年のヒット、
「Rockin' Roll Waltz」 ですが、この曲をラジオで初めて聴いた時は、
えらく元気なお姉さんだなと思ったものです。
 他には
 「Side By Side」 「Changing Partners」 などが強く印象に残っています。

 アルバムを買って、
彼女がジャズ、カントリー、ポップス、ブルース、とジャンルを超えた歌手だったことを初めて知りました。
 ジョー・スタッフォードのアルバムに、「America's Most Versatile Singing Star」
サブタイトルのついたものがありますが、ケイ・スターも同様の評価を受けていたようです。
活躍した時期が、40年代と50年代が中心というところもよく似ています。
 彼女もグレン・ミラー楽団に所属した時期があったようですが、
この時代の歌手は、ビッグ・バンド出身が当たり前だったはずで、
むしろ私がハンク・ウイリアムスの歌を最初に憶えた想い出の歌手:ジョニ・ジェイムスなんかは、
最初からソロで活躍したポピュラー歌手のハシリなんじゃないかな、と思っています。

 「Comes A-Long A-Love」 「Side By Side」 「Changing Partners」 「Am I A Toy Or A Treasure」 「Crazy」
 「Going To Chicago Blues」 「Half A Photograph」 「I Love Paris」 「I'm The Lonesomest Gal In Town」 
 「If You Love Me Really Love Me」 「It Had To Be You」 「Lazy River」 「Lovesick Blues」 「More Than You Know」
 「Nevetheless I'm In Love With You」 「On A Slow Boat To China」 「P.S. I Love You」 「Rock And Roll Waltz」
 「Singing The Blues」 「Wheel Of Fortune」 「You're Just In Love」 「When A Woman Loves A Man」
 「I'll Always Be In Love With You」 「Fool Fool Fool」 「Allez Vous En (Go Away)」 


 ハンク・ウイリアムスあり、カウント・ベーシーあり、コール・ポーターありと、
幅広いレパートリーは時代の特徴だったのかもしれませんが、いかにベスト盤とはいえ、25曲入りとは恐れ入ります。
 一度に聴ける一人の歌手の歌は、せいぜい12曲ぐらい…LPに慣れているせいかもしれませんが、
こんなにまとめて聴けちゃうと、かえって有難さが薄れてしまうというものです。
 でも、昔、1〜2曲しか知らなかったアーティストの本来の姿を、今頃発見する喜び…
これだけは、子供の頃から音楽に親しんできた者の特権だと思っています。

 「More Than You Know」 を聴いた時、バックでサックスを吹いているのは、間違いなくベン・ウエブスターだな、
とすぐ感じました。ジョー・スタッフォードのジャズ・アルバムでも活躍していましたが、
雰囲気のあるサックスを聴かされると、好きだ嫌いだを超えて、やはり優れたアーティストと言わざるを得ません。
 「Singing The Blues」 は、ガイ・ミッチェルやマーティ・ロビンスの元気の良い歌でお馴染みでしたが、
オーケストラをバックに、本来のブルースはこうあるべきだと言わんばかりに、スロー・テンポで歌っています。
 他にも、彼女独特の解釈で興味深い歌がいくつもあるのですが、省略します。

 ケイ・スターは、高音部に魅力がある、チョッとシャウト気味な歌い方が特徴ですが、
どんな歌でもこなす歌唱力の確かさが、人気の秘密だったのかもしれません。
 ジョー・スタッフォードや、パティ・ペイジなどの上品な感じとは違い、エネルギッシュな雰囲気で、
似たような歌手の、キーリー・スミスを思い起こさせます。

 ドリス・デイ、パティ・ペイジ、ダイナ・ショア、ペギー・リー、ローズマリー・クルーニー…、
馴染みの深い女性歌手のCDは、大抵買ったつもりですが、CDショップへ出かけると、
また誰かに出会ってしまうはずですから困ったものです…それが楽しみなのですが〜。
 


 ○ ジョニ・ジェームス 「Joni James Sings Songs Of Hank Williams」

■「Joni James Sings Songs Of Hank Williams」


 長年欲しいと思っていたアルバムを、ようやく再び手にする事が出来ました。

 カントリーの偉大なシンガー・ソングライター:ハンク・ウイリアムスを
大好きになったきっかけが、ジョニ・ジェームスのこのアルバムというのも、
今思うと不思議な偶然ですが、強い想いいれがあります。
 それまで、カントリー歌手といったら、テックス・リッター、テネシー・アーニーフォード、
エディ・アーノルド、テキサス・ビル・ストレングス、ガイ・ミッチェル、
ソニー・ジェームス、マーティ・ロビンスなどがお馴染みで、それも単発のヒット曲で知っていたぐらいですし、
当時はポピュラー番組でしか聴けませんでしたから、
これだけまとめて素晴らしいカントリー・ソングを聴いたのは初めてでした。

 これ以前にも、彼の歌声や、他の歌手の歌う彼のヒット曲などは聴いていたはずですが、
このアルバムを買った高校3年の時から、カントリー音楽とハンク・ウイリアムスはしっかりと記憶され、
以後、カントリー好き、ハンク好きになったのですから、このレコードの影響は絶大なものがありました。

 「Your Cheatin' Heart」 「Half As Much」 「Jambalaya」 「There'll Be No Teardrops Tonight」
 「I Can't Help It」 「I'm So Lonesome I Could Cry」 「Cold Cold Heart」 「Hey Good Lookin'」
 「My Heart Would Know」 「Why Don't You Love Me 」 「I'm Sorry For You My Friend」 「You Win Again」 


 全ての曲が懐かしく、彼女の優しく澄んだ声、丁寧な歌いぶりが懐かしく…、心揺さぶられます。
 レコードをとっくに失っていたので、ずっと、ジャケット全体が黄色い色調だったような記憶があったのですが、
これを見る限り、黄色が使われているのは、ロゴ・タイプだけだったようです。
 当時、アルバムの内容など知らず、ただハンクの名前と、きれいなお姉さんの写真が気になって買ったのですが、
時には大当たりすることもあるものです。同じ理由で買ったLPは、ジューン・クリスティの
「Something Cool」 だけですが、二人とも上品な歌声というところは共通していて…、奇妙な偶然です。

 LPには、歌詞カードがついていたのだと思いますが、ともかく繰り返し繰り返し聴いて、
ここにある全ての曲を丸暗記したものでした。その後ハンクのドーナツ盤を買い、上京してすぐLPを買い、
ハンクのギター教本を買い…、自信をもって弾き語りが出来たのも、これらの曲が最初でした。
 ジョニ・ジェームスは、歌詞やメロディに忠実に歌っていたので、ハンクとの違和感が無かったのは助かりました。


 アルバムを聴いていて、気に入っていた 
「There'll Be No Teardrops」 「I'm Sorry For You My Friend」 を、
肝心のハンクの歌では聴いていないんじゃないかなと思ったのですが、手持ちには無いので確認できません。
ジョニ・ジェームスのしっとりとした雰囲気が似合っているのですが、ハンクがどう歌ったのか気になっています。
  

■「Joni James」


 ライナーによると、彼女が歌った 
「Why Don't You Believe Me」 は、
1952年のアメリカのポップ・チャートで1位になり、
カントリー・ソングの 
「Wishing Ring」 もチャート入りしたようですが、
彼女のキャリアを知ったのは初めてです。
 興味深いのは、あのハンクが、彼女のそれらの歌を聴いて、
すっかりファンになってしまったという話です。
すでに大スターだったハンクに憧れたというなら、ごく当たり前のことですが、
なんと逆だったというのですから、驚きです。

 ハンク・ウイリアムスは、1923年生まれで、1953年の元旦に亡くなっていますし、
ジョニ・ジェームスは、1930年生まれですから、ハンクが彼女の歌声や美貌に心を奪われても
不思議は無いのでしょうが、シャイな彼の事だから、それ以上のことは無かったんだろうなあ、
などと好き勝手に妄想しています。
彼がシャイな性格だと知っているわけではありませんが、あれだけ膨大な失恋ソングが書けたのですから〜。
 彼女が 
「Your Cheatin' Heart」 を録音した同じ年に、ハンクは29才の若さで亡くなったそうで、
何か二人の間に因縁めいたものを感じます。後に知ったことですが、この年、彼女の歌が大ヒットしています。

 こんな話は、興味の無い人にはなんの意味ももたないのですが、
想い出深い彼女のレコードが、単純に所属会社が、ハンクと同じMGMだったから吹き込んだ、
と言うわけでもなさそうで、私にとっては格別な感慨があります。
 ハンクと妻のオードリーが不仲だったことは、知っていましたから、
人間ハンク・ウイリアムスを今頃垣間見たような気がして、ひとしお親近感が湧いてきます。

 素晴らしい歌声を聴いたからといって、特別彼女のとりこになったわけでもなく、
このアルバム以降どんな活躍をしたのかも知らない、というのも随分いい加減な話ですが、
1965年には歌手をリタイアしてしまったようですから、彼女のことについて知らないのも当然かもしれません。
  

■「Joni James County Style」


 実は、CDでは、もう一枚のアルバム 「Joni James Country Style」
がカップリングされています。
「Room Full Of Roses」 「You Were Only Fooling」 「Too Soon To Know」
「You Are My Sunshine」 「You Don't Know Me」 「Candy Kisses」
「I Really Don't Want To Know」 「Keep It A Secret」 「Lend Me Your Handkerchief」 
「Vaya Con Dios」 「You Call Everybody Darling」 「Gonna Find Me A Bluebird」
 

 1曲だけ知っている、ジョージ・モーガンのヒット曲
 「Candy kisses」 
レコードがあって、気に入っていたマービン・レインウォーターの 
「Gonna Find Me A Bluebird」 など懐かしい歌、
あまり馴染みの無い歌といろいろですが、心地よく聴けるものの、心がうずくというところまではいきません。

 想い出とリンクしていないアルバムだけに、冷静に彼女の歌を聴けるようです。
 これらは、ポピュラー・シンガーの歌うカントリー・ソングといった感じで、聴きやすいけれど、
カントリー歌手に共通した、独特の癖や泥臭さがないので、どこか物足らない感じがします。
でも、このしっとりとした丁寧な歌い方が、彼女の人気の秘密だろうということは、容易に想像がつきます。


 恐らく、これより少し以前に吹き込んだはずですから、当然、歌唱力に変化はないのですが、
 「Joni James Sings Songs Of Hank Williams」 を聴いて、冷静な評価などとてもできません。
 40数年ぶりに聴くハンクの名曲の数々…、一生懸命耳をそばだてて聴いた、当時の自分が瞬時に蘇ります。
 不安などこれっぽっちも無く、未来が洋々と開けていた良き時代〜、そして、その後の様々な出来事〜。
 彼女の清々しい歌声のせいか、ハンクへの想いのせいか、それとも過ぎ去った日々への郷愁なのか、
 …歌を聴いていると、胸にこみ上げるものがあります。

 音楽のもつ不思議な力に、今更ながら戸惑いをおぼえます。


 ○ カントリー音楽とホンキー・トンク

■「Honky Tonk Style」

 懐かしいジョニー・ホートンのアルバムを買ったついでに、
私なりに編集した、ホンキートンク・アルバムを作ってみました。

1.
「Honky Tonk Man」 : Jonny Horton
2
.「It Wasn't Got Who Made Honky Tonk Angel」 : Kitty Wells
3.
「Honky Tonk Blues」 : Hank Williams
4.
「City Lights」 : Ray Price
5
. 「Goin' Steady」 : Faron Young
6
. 「If You've Got The Money」 : Lefty Frizzell
7
. 「I'm Tired」 : Webb Pierce
8
. 「I've Got A Picture Of Us On My Mind」 : Loretta Lynn
9.
「My Baby's Just Like Money」 : Lefty Frizzell
10
.「Why Baby Why」 : George Jones
11
.「Honky Tonk Girl」 : Hank Thompson
 ロレッタ・リンは、自作の 
「Honky Tonk Girl」 があるのですが、アルバムに取り込めないので、
ややスタイルの違うものを入れました。個人の趣味の音楽…、こんな遊びも楽しみのうちです。

 これに関連して、カントリー音楽について書いてみようと思いました。
音楽関連の情報誌というのを買ったことがありませんから、
未だにカントリー音楽の定義があるのかどうかも知りません。
でも、長い間、カントリー音楽に接して、ラジオのディスクジョッキーの話、
レコードやCDのライナーによる情報などから、自分なりに納得したものはあります。
もちろんいい加減な解釈ですが、聴く楽しみを優先していますから、
理屈など、私にとってはあまり重要な事ではありません。

  
■「Woody Guthrie」
 私の子供の頃は、このての音楽は、全て「ウエスタン」と呼んでいましたし、
50年代の半ば頃は、日本のウエスタン音楽も盛んでした。
小坂一也やフランク永井などはよく憶えていますが、ロカビリー、
ロック時代と共に人気も衰え、転業していった人も多かったはずです。

 私がホンキー・トンクという言葉を知ったのは中学時代で、
ジョニー・ホートンの
 「Honkytonk Man」 、ビル・ドゲッツの 「Honky Tonk」 という
ヒット曲をラジオで聴いたのが初めてです。

 ビル・ドゲッツの曲は、カントリーではなかったものの、妙に心地よいテンポでした。
ジョニー・ホートンのヒット曲は、ハンク・ウイリアムスの曲同様、誰でも口ずさんだもので、
“アイマ ホンキトンクマン〜”なんて、歌謡曲と同じような気軽さでしたし、
最後のフレーズは、“ヘイヘイ ママさん 酒もってこい!”…、何ともいい加減に歌っていたものです。

 また、カントリー・ミュージックという言葉を覚えたのは、
上京して、FENの「カントリー・カウント・ダウン」という番組を聴いてからですが、
60年代の始め頃買った、日本版のLPレコード解説には、
「ウエスターン」 などと書かれていましたから、まだおおらかな時代でした。

 ウエスタン、ホンキー・トンクの曲を中学時代には聴いていたのに、
カントリーという言葉は、大学時代に知ったことになりますが、
そもそも、子供の頃は、西部劇映画かラジオのポピュラー番組でしか聴けなかったので、
これらの音楽もポピュラー音楽ということで納得していたものです。

60年代あたりから、世界中の音楽が聴けるようになり、ジャンル別の音楽番組も出来てきて、
今に至っているというのが実感です。

 
ともかく、現代は何でも細分化され、理論が盛んになり、頭で音楽を聴く人が多くなりましたが、
レコード会社や評論家の思う壺、と、冷ややかに見ています。

  
■「Songs of Jimmie Rodgers Song by Lefty Frizzell」

 私の、ささやかな経験から得た知識では、
カントリー音楽は、イギリス始めヨーロッパの民謡がルーツで、
移民と共にアメリカに渡って、様々な形に変化し発展していったのだと思っています。
フィドルやバンジョーなどの演奏に合わせて、男女がダンスをするシーンなど、
ヨーロッパから移民した人達の唯一の楽しみだったろうことは、
西部劇映画でお馴染みです。


 
子供の頃は、西部のどんな小さな町にも、教会・酒場兼売春宿・保安官詰所が必ずあるのが不思議でした。
スクリーンで観る限り、人々は、日曜の教会での賛美歌や、記念日でのダンスパーティに参加して楽しみ、
酒場では常時ピアノ弾きがいて、カウボーイの憩いの場でしたし、
時々幌馬車で訪れる、旅芸人の音楽や踊りも、西部劇映画の定番シーンでした。
 辺境の地での生活では、音楽が人々の心のよりどころだったんだなあ、と今なら理解できます。


 また、カウボーイ・ソングが、アメリカ開拓時代の音楽として生まれたのは、
これも映画でお馴染みですが、
私がリアル・タイムでも、歌うカウボーイを映画で観ているくらいですから、
ハリウッド映画のおかげで生き残った音楽かもしれないと考えています。
カウボーイ・ソングも、カントリー音楽の一ジャンルですが、
恐らくウエスタンと呼ばれたものがそれなんだろう、と適当に解釈しています。

 カントリー&ウエスタンという呼び方もありましたが、
今ではラジオで聴く限り、カントリー・ミュージックで統一されているようです。
  
■「Cowboy Songs」

 カントリー音楽というのは、
白人労働者のブルースとして発展した音楽だと思っています。
古くはヒルビリーと呼ばれていたようですが、
その後、ホンキートンクという安酒場が、
ミュージシャンの活躍の場になったようです。
 そこでは、ダンス音楽、フォーク音楽、カウボーイ音楽などが
ごっちゃに演じられていたのでしょうが、
ジューク・ボックスやラジオ番組によって、カントリー音楽が国中に広まったのでしょう。
 40年代のウエスタン・スィングはかなりジャズっぽい演奏もありますが、
私のリアル・タイムで聴きなじんだ、ホンキートンクが、その後全盛期を迎えたというわけです。
 ホンキートンクは、少人数の編成で、主に男女間の悩みや、
身近な出来事をテーマにしているのが特徴のようですが、
安酒場が転じて、カントリー音楽の一つのスタイルになったのがホンキー・トンクだと解釈しています。
       
 50年代半ば以降、ロカビリーが生まれ、カントリー歌手の多くがロカビリーを歌っていますが、
素朴なホンキー・トンク・スタイルでは、時代に対応できなくなっていったのでしょう。
 その解決策として生まれたのが、ナッシュビル・サウンズといわれるスタイルだったように記憶しています。
オーケストラやコーラスが入って演奏が豪華になり、音楽的にもかなり洗練されたもので、
大学時代のヒット曲の数々が、丁度その頃のものでした。
 70年代になると、ナッシュビルから、西海岸のベーカーズ・フィールドへ、
カントリーの人気の拠点は移ったようですが、もう社会人でしたから真剣に聴いていませんし、
女性歌手以外、あまり想い入れもありません。

  

■「Carter Family」


 現在でも、ホンキートンク、カントリー・ゴスペル、ブルーグラス、
コミック音楽、ダンス音楽等など、カントリー音楽も、
いろいろな種類のものが生きつづけていると思いますが、、
古いアーティスト達…、ジミー・ロジャース、カーター・ファミリー、
ウッディ・ガスリー、ウェイン・レイニー、デルモア・ブラザース〜、
リアル・タイムでは聴けなかった、沢山のアーティストの音楽を、
容易に聴ける良い時代になりました。

 
今でも続いている、ヤンキー放送の「カントリー・カウントダウン」は時々聴いていますが、
もう、カントリー・ソングと呼べるような音楽ではありません。
どう考えても、リアル・タイムのホンキー・トンクをメインにした歌やアーティストが、
カントリー音楽では、一番素晴らしい時代だったと、思っています。

  
■「Johnny Horton」


 私のカントリー音楽の定義は、
“聴いてみて、カントリーらしいものがカントリー音楽”という単純なものですが、
その中でも、ハンク・ウイリアムス、ハンク・スノウ、レフティ・フリッゼル、
ウエッブ・ピアース、マーティ・ロビンス、レイ・プライス、ジョージ・ジョーンズ、
ファロン・ヤング、
女性では、キティ・ウエルズ、ロレッタ・リン、タミー・ワイネットあたりが、
好みということもあって、正統派カントリー・シンガーと位置付けています。
 長い間聴いてきて信じ込んでいますから、それが違うといわれても変えようがありません。

 ハンク・トンプソンや、マール・トラヴィスなどは、最近買ったCDによって、
昔のイメージから一変して気に入った歌手ですから、今後も、好きな歌手が出てきても不思議ではありません。
何しろ、昔は1曲や2曲聴いただけで、歌手を評価していたのですから、我ながらいい加減だったと思っています。

 
カントリー音楽の話は尽きないので、いずれページを変えて、次のテーマに移ろうと思っています。



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